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その4

女房と烏骨鶏

烏骨鶏を飼うようになって、我が家の雰囲気に変化が現われてきた。
会社から帰れば、今日はどうであった、何個生まれた、何々が可愛い、とか必ず報告がある。
産卵時期には産卵率の記録の為に「今日は何個」と聞いたり、また女房からの情報で得ることもある、自然に会話の中心が烏骨鶏の事になり、会話の量も以前にまして増えてきた。
その女房は烏骨鶏の為に、思いもかけない突飛な行動もするし、言葉も吐く。これは女房の烏骨鶏にまつわるエピソードの様なものである。


イザちゃんがね

帰宅すると、女房が「イザちゃんがね」と話しかけてきた。
何を言おうとしているのか分かったが、敢えて「どこかのイザベルがどうかしたか」と、とぼけると「違う、違う、うちのイザチャンがね」と言い、そして「イザちゃんと名付けたの」と言う。
現在は親鶏が3羽と雛が7羽いるが、雛には名前が付いていない。雛の1羽は孵化後、3週齢の頃から足が悪くなり、両足とも主要3趾が内側に曲がり込み、3趾で立てないで、膝以下でいざり歩いていた。
既に2羽を淘汰していたが、これも淘汰せざるを得ないなと考えていたのだが、女房の頑強な抵抗に遭い、そのままに捨ておいた雛である。
その雛は食欲も旺盛で足の問題さえ無ければ、脚毛も良いし、烏骨鶏としては申し分がない雛だ。
これが3趾の内、真ん中の趾が真っ直ぐになってきて、歩き始めたと言うのだ。
そんな筈はないと聞き流しておいたのだが、ある朝、出勤前に庭の雛を見ていると7羽とも立って歩いている。
この前まで、イザリ歩いていたのはどれだろうか注意してみると、中に一羽、歩き方に少し不自然なのがいる。
そうか、あれが、イザか! その日以来、会社から帰宅すると「イザちゃんがね」が続く。
雛の健康が回復したのは良いが、鶏漬けの女房の相手も煩わしい。 どうして回復したのだろうか?
年末に与えた太刀魚の骨付き切り身が効いたのかな?、それとも黒烏骨鶏が居なくなった効果かな?
正月に与えた御神酒が効いたかな?
今では、注意深く見ないと、どれがその雛か分からなくなってきた。淘汰していなくて良かったなぁ!


パンよ、お前もか

ある日、庭を見ると丸く白いものが2個見える。何かと側に行って見てみるとパンの様だ。
鶏達が啄ばんだ後なので何パンかは分からないが、パンには違いない。
それから、庭には、トマトが、小松菜が、パンが見える様になった。
多分、これら以外にも、あれこれと鶏達に供されたに違いない。ただ、鶏達に気に入られなかっただけであろう。
今もピーナツは買い置かれている。食べるのは女房と鶏くらいだ。
正月あけのある日、メロンパンを何袋も買ってきた。「そんなに買ってきてどうする」「もう、鶏にはやるな」と言うと、「子供が朝食にも食べるから」と子供まで鶏のだしに使われる。 付ける薬がない、ついにメロンパンまで登場してきた。


白菜よ、お前もか


正月3日、鶏養の友人から白菜を4個貰った。別に鶏の餌用として貰った訳ではない。
次の日に庭を見ると、小松菜が吊り下げられており、そして半分に切られた白菜が庭に転がっている。
見れば白菜も葉先の部分が結構食べられて後と見え、形を止めていない。
その後も白菜が庭にみられた。
充分に人間の食に供される白菜が、、、 「人間が食べた残りをやれ!」と言うと、「じゃ、そうする」とは言ったもののその後、白菜が食卓には上っていない。

つづく

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